•  フットパス活動の記録

鶴川フットパス 鶴川(能ケ谷)の四つの古民家を巡る
2025.01.26
[ 講師:浅黄 美彦 神谷 由紀子 田邊 博仁 ]

鶴川の土地や開発の歴史を顧みながら四つの古民家を巡ります

1月26日(日) 天気:晴 参加者:31名

 小野路宿がフットパス発祥の地とするならば、千都の杜のあるかつての能ケ谷の森は、そのきっかけとなった場所でもあります。
 鶴川駅周辺は空も大きく、なんだかのどかな雰囲気が漂うのは、かつて多摩丘陵の自然の中に集落が点在する豊かな場所であった由縁でしょうか。そんな集落のひとつが能ケ谷で、今でもその面影が随所に残っています。最初に訪ねる駅前の「鶴川香山園(つるかわかごやまえん)」は、池泉回遊式庭園と書院造りの建物(瑞香殿)がある名家の邸跡で、昨日開園したばかりの都市公園です。ここを起点としてみなさんにお見せしたい鶴川駅周辺のフットパスコースがいくつもできそうな予感がします。


鶴川香山園・瑞香殿をバックに参加者と(写真:田邊)


開園した池泉回遊式庭園と瑞香殿(1906建立)(写真:田邊)

 津久井道を東へ少し歩き、鈴木工務店の当主が代々受け継いできた築150年の茅葺古民家「可喜庵」へ。江戸末期に造られた古民家の内部で、住まいの模型展示や古本市を眺めた後、建築家でもある現当主の鈴木さんから、古民家ながら快適な暮らしの研究の場にもなっていることや、茅葺屋根の葺き替えのこと、先に見た香山園の瑞香
殿の棟梁は先々代当主であることなど、興味深い話をお聴きすることができました。


可喜庵古民家と当主からの説明風景

 江戸の道であり谷道になっている津久井道から妙行寺の境内を上り、多摩丘陵のエッジからの眺望を楽しむ。はるか三輪の大木の樹形がくっきりと見えました。
 丘の上は、かつての能ケ谷の森を開発した大規模住宅分譲地「千都の杜」。隣接する平和台に住む神谷さんより、開発前の能ケ谷の原風景のことや開発の経緯、反対運動のことなどを話していただきました。開発を止めることはできませんでしたが、所有者、周辺の方々、開発者などが歩み寄り、折り合いをつけながら今の千都の杜があるようで、緑道のネットワーク、尾根沿いの緑地の配置、擁壁を緑で隠す、高い緑被率などの配慮に繋がっていったようにも感じられます。


千都の杜住宅地

 住宅地の緑道を進むと、能ケ谷神社に繋がっています。「能ケ谷神社」は、真光寺川の東側の丘の上、住宅地の一画にある小さな神社という佇まい。かつては能ケ谷村の鎮守としてランドマークだったのでしょう。神社は区画整理地事業地内に組み込まれ、開発完成当初は禿山となっていたのが20数年を経て、立派な神社の森となっています。戦前、白洲次郎・正子夫妻は能ケ谷に居を構えますが、近くに東照宮(合祀され大正期に能ケ谷神社となる)があることと、造詣の深い「能」の字を冠した地名に縁を感じたからだと、白洲正子の『鶴川日記』に書いていました。
 屋根の葺き替えのこと、先に見た香山園の瑞香殿の棟梁は先々代当主であることなど、興味深い話をお聴きすることができました。

 神社から平和台の住宅地を抜けると三番目の目的地「みんなの古民家」となります。
 みんなの古民家のオーナー石川さんから、江戸末期に造られた古民家のこと、今もカマドで火が炊かれていること、1977年まで暮らしていた母屋を2014年からレンタルスペースとし、シェアキッチン、マルシェなどを開催。古民家を開放していく、まさに「みんなの古民家」利活用のお話を聴くことができました。保存でも移築でも解体でもなく、その場でありのままに古民家をたくましく利活用する優れた事例と感じました。


「みんなの古民家」で石川さんのお話を聞く(写真:田邊)

 昼食はみんなの古民家周辺のいくつかの飲食店に分散してとり、最後の「武相荘」へ。
 白洲次郎・正子夫妻が1943年に転居してきた藁葺屋根の古民家は見事にリノベーションされ、英国のカントリーハウスといった趣も感じられます。現在の旧白洲邸「武相荘」は記念館・資料館として一般公開されています。この日はちょうど骨董市が開催されており、敷地内は入場無料で入ることができました。
 武相荘の骨董市を眺めて、四つの古民家を巡るフットパスを終了しました。
(文と写真:浅黄 善彦)


武相荘

「鶴川の四つの古民家を巡るフットパス」に参加して

 町田市鶴川駅近くに、地域の文化的財産を再生した市立公園「鶴川香山園(つるかわかごやまえん)」が1月25日に開園した。それを近隣の古民家が祝う「鶴川OMOTENASHI祭り2025」イベントがあり、NPO法人みどりのゆびもフットパス・里山歩きツアーを企画し、浅黄さんに教えていただき参加した。理事長の高見沢邦郎先生に久しぶりにお会いできた。
 出発点は、神蔵家の灸治所として親しまれていたという香山園。瑞香殿が、レストランとして整備されている。1906年に鈴木工務店の先々代が建築した端正な表情の建物である。
 次の「可喜庵」は鈴木工務店の茅葺建物である。江戸時代末頃に隠居用の建物として建築されたとご当主からお聞きした。15年前に行われた茅葺の葺き替え時には、市民の方々も作業に参加したという。色々な集まりが企画されて、気持ちよいスペースをつくっている。工務店事務所の建物も色彩や材料の使い方が粋で、素敵な建物だ。
 蓮の絵で知られる「妙行寺」の裏手を登って、大規模住宅開発地の「千都の杜」へ。かつては能ヶ谷の森として親しまれた緑地で、開発反対運動を経て、緑の多い質の高い住環境を形成している。
 三つ目の「みんなの古民家」は石川家のかつての母屋で、今も囲炉裏など、時々は火が使われている。離れは民泊に使われ、ジンバブエなど海外からの宿泊者との交流が持続的になされている。
 また、撮影スポットとしても有名。農の営みを大切にして、近くにある有名な里地の寺家町で古代米を栽培したり、野菜を敷地内で栽培している。最後は、有名な「武相荘」。骨董市が開かれていた。流石に茅葺屋根は凛として風格がある。
 スタンプラリーで4つの古民家を訪れて、出発点の香山園に戻り、くじ引きができた。中には3等を引き当てた方もいて、幸先の良い年明けのイベントでした。
(文:若林 祥文)



スタンプラリー3等賞を祝福(写真:田邊)

2025.01.26 22:10 | 固定リンク | フットパス
【緑地管理報告 1/19(日)】
2025.01.20
1/19日(日)10:00~12:00 晴れ時々曇り         
参加者 10名


今月の竹林整備の作業は、
(1)昨年の雪で倒れて、まだ処理しきれないでいた木を片付けました。
 まだ残っているものの、広場はずいぶんスッキリしました。

(2)また、下の段と安全に行き来出来る  ように通路を作り始めました。
 作り方は、土留めにするため、まず竹を切り倒します。それを20センチ位の
 輪切りにして、半分に割ります。
 半分に割った竹を一段につき5~6個木槌で上から叩いて土に埋めます。
 これを階段の段数分行います。まだ道半ば、地味で根気と力のいる作業です。

(3)念願の丸太の椅子も、広場に幾つか設置出来ました。
 座り心地がいいです。

今回は、12/15日の小野路再発見ツァーに参加した方が加わって下さり、
一緒に作業出来て楽しかったです。

昼食後は、12/15日の反省とタケノコ祭りに向けての打ち合わせをしました。

(記 鈴木)
2025.01.20 23:25 | 固定リンク | 緑地管理
他のまちのフットパスをみてみよう 高尾山「ダイヤモンド富士」と自然とのふれあい
2024.12.20
[ 講師: 小林 道正 ]

年1回だけのダイヤモンド富士と、ムササビとの遭遇を期待して



12月20日(金) 天気:曇り 参加者:9名

 高尾山からの富士山の眺めは格別です。夕日が富士山の山頂に沈むのはもっと格別です。しかし今年は残念ながら雲に覆われて見ることはできませんでした。


2024年12月20日15時10分


2024年12月22日16時16分

 高尾山から見る富士山に夕日が沈むのは冬至の日(12月21日)と前後1日の数日間だけです。下記の資料は東京の「日入の位置」と「日出と日入の時刻」です。日入の太陽の位置が高尾山から見て最も南寄りのところに富士山があります。そして冬至の日に最も昼が短くなりますが、日出が最も遅い日と日入の最も早い日は冬至ではなくズレているのが不思議ですね。




高尾山山頂で記念写真

 「ダイヤモンド富士」は残念ながら見ることができませんでしたが、それでも今回のフットパスが満足いっぱい感激いっぱいになれたのはムササビの飛翔が見られたからです。巣穴の下で待ち受ける私たちの頭の上を、そして目の前を飛んで森に消えて行きました。さらに、その映像を記録できたことで何度も感動を振り返ることができました。


ムササビが頭の上を飛んだ!

 高尾山にはたくさんのムササビが住み着いています。それはムササビが食事をした痕や糞を見つけられることや、多くの巣穴があることから確認できます。
 高尾山には1300年の歴史のある薬王院があります。修験道の道場として神聖な山が守られ、時の権力者からも篤く保護されてきました。そのおかげで多種多様な自然が残っています。

 冬の季節の人気は「シモバシラ」です。地面から氷の柱が成長する霜柱ではなく、シモバシラという植物の茎に氷の華ができるのです。


「氷の華」といわれるシモバシラ

 12月になっても、真っ赤に紅葉したメグスリノキの葉が残っていました。モミジやカエデの仲間です。プロペラのような種子を見れば分かりますが、その大きさにビックリします。


メグスリノキの葉


一番上がメグスリノキ、一番下
がイロハモミジの種子もありました

 キジョランの実と種子もありました。ウリのような実が縦に割れて白い綿毛の種子が風になびいています。この白い綿毛が鬼の老婆が髪を振り乱している様子を連想させて鬼女蘭と命名されました。
 キジョランにはもう一つの魅力的な話題があります。この葉っぱを食草としているアサギマダラは、数百kmもの渡りをするといわれています。秋に卵から孵った幼虫はキジョランの葉っぱを食べながら冬を越します。これだけでも驚きですね。幼虫の葉っぱの食べ方に特徴があります。キジョランの葉っぱには毒があるからです。初めに円を描くように噛んで筋を付けます。すると円の内側の毒が白く染み出てきます。そうしてから内側の葉っぱを食べるのだそうです。




キジョランの実と綿毛のついた種子


アサギマダラの幼虫とキジョランの葉っぱ

 高尾山内には、四国八十八カ所の札所の土と一緒にお大師像が建立されています。今回は約半分の三十五カ所をお参りしました。次回は是非「八十八大師巡拝結願」していただきと思います。


弘法大師が祀られている四天王門(写真:田邊)
(文と写真:小林 道正)

「高尾山からダイヤモンド富士を見る」に参加して



 前日は初雪がちらつく寒い天気でしたが、当日はそこまで寒さを感じませんでした。今回のフットパスの見どころは、高尾山の多様な自然体系としての植物、頂上から見る雄大な景色としての富士山、そして珍しいムササビの生態です。
 山頂へ向かう途中、高尾山の多様な植物について小林先生に解説してもらいましたが、ハイライトのダイヤモンド富士は雲に邪魔され今回は不発に終わりました。ただ、ムササビの飛翔する姿が見られて感激しました。
 高尾山にムササビが生息していることは知っていましたが、夜行性でもあり、実際に飛翔する姿を、それも眼前を通ること一瞬でしたが、自分にぶつかるのではないかと思うほどに遭遇することができました。もともと里山の人家周辺にも棲んでいる身近な動物で、巣穴から出て採食を始めるのは日没の30分後と決まっているということです。高尾山には巣穴を作る大きな樹木と餌になる樹種も多く、さらに滑走ができる高い木も多く植生している環境がお気に入りのようです。今回の観察場所は建物の軒下という少し特別な場所でしたが、他にもムササビの巣穴を教えていただきました。これからもムササビが観察できる高尾の山の自然環境を残していく事ができれば良いと実感いたしました。
 ケーブルの頂上駅で購入した「天狗焼」は家族で好評でした。黒豆の入った味も素晴らしく、最高のお土産となりました。
(文:太田 義博)
2024.12.20 17:07 | 固定リンク | フットパス
【鎌倉街道小野路宿緑地 再発見ツアー実施報告 12/15(日)】
2024.12.17
参加者 25名

今回は「みどりのゆび管理地を巡る里山歩き」とお楽しみ会を行った。
当日は風のない暖かな日差しに恵まれて緑地(町田市から委託を受けている管理地)に集合した。
作業小屋から裏山に入り一部鎌倉古道を通り竹林が見渡せる山道を歩いた。
関屋の切通に出てから管理地の竹林へ寄る。2月の雪で倒木があり、市の伐採に時間がかかったことなど
現状を説明する。

関屋の切通しを下り地蔵祠の脇から細い一本道を歩き一本杉公園(多摩市)へ向かう。
茅葺き屋根の古民家の中で楽しい昼食にする。
昼食後は恵泉女学園大学の脇、妙櫻寺からの道を通り出発点の緑地に向かった。
緑地ではお楽しみ会準備のため早めに戻った複数の会員たちが焚き火で迎えてくださり
お茶の時間。焼き芋や焼きリンゴなど味わいながら歓談した。
盛大で楽しい一日だった。

(記録:新納)
2024.12.17 08:30 | 固定リンク | 緑地管理
みどりのゆび管理地周辺をもっと知ろう 鎌倉街道小野路宿緑地 再発見ツアー
2024.12.15
[ 講師:伊藤 右学]

宿緑地のある小野路は、日本のフットパス発祥の地です!



12月15日(日) 天気:晴 参加者:24名

 私たちNPO法人みどりのゆびは、非営利事業として小野路で緑地、里山保全のための啓蒙実践活動を行っています。ここは、「鎌倉街道小野路宿緑地」という名称の市立公園で、2024年度4月から「町田ふるさとの森」から名称変更になりました。町田市と連携し、「公園緑地を気持ちよく利用できるように、清掃及び除草活動をする」「木が枯れている・折れている場合の連絡をする」などの活動を月1回程度行っています。
 参加メンバーは、毎回5,6名で固定化されつつあります。作業が地味なのか、なかなか人が集まらない状況が続いています。そこで、まずはこの緑地の存在を会員の方々にも改めて知ってもらうためにできることは何か考えました。
 このエリアは、市民に多摩丘陵の魅力や価値を知ってもらおうと、里山の景観や風情を歩いて楽しむコースづくりに取り組んだフットパス発祥の場所。その魅力を、「再発見ツアー」で改めて伝えようと決めました。
 コース選択、イベント内容の検討は、皆で行いました。ただ、このイベントを計画するにあたり決めた約束事は、メンバー同士でお互いの苦労をねぎらい、お楽しみ会を兼ねることでした。そうと決まれば、アイデアは次から次に出始め、「緑地・竹林を紹介しよう」「古民家を借りてお昼ご飯を食べよう」「緑地で焚き火してデザートを食べよう」など、すぐ決まりました。そして参加者募集も会員だけでなく、興味を持っていただいた一般の方々も対象とすることとし告知チラシを作りました。チラシは緑地掲示版に貼るとともに、「小野路宿里山交流館」にも配架させていただききました。結果、沢山の参加者をお迎えすることが、出来ました。


告知チラシの効果は?


管理緑地に集合する参加者たち

 当日は風もなく暖かい日差しに恵まれ、布田道を経由して管理緑地に集合しました。ここは管理倉庫が置かれる緑地管理の拠点です。湧き水が豊富で、春には蛙の産卵も見られます。
 緑地活動の内容を紹介するとともに本日の行程を説明し、まずは裏山に入りました。手入れされた雑木林が続き、竹林が見渡せる豊かな里山の雰囲気を楽しんでいただけたようです。


まずは裏山から周辺の探訪をスタート(写真:伊藤)

 みどりのゆびの竹林管理地で一休み。この竹林では、竹の混み具合に応じて一部を伐採することにより、残った竹の生長を促す作業をしています。
 大切に管理している竹林ですが、昨年2月5日の大雪により倒木被害を受けました。竹林の脇にあるシラカシの高木が2本倒れて広場全体を覆いつくし、活動が出来なくなりました。急きょ会員に呼び掛け、総出で片付けました。それでも手に負えない大きな幹は、町田市に再三お願いし、12月にやっと処理できました。自然を相手に活動していると、思いがけないことも起こる苦労でした。

竹林で。伐採された倒木を片付ける(写真:横山)

 緑地から10分ほどの「一本杉公園」は、多摩市の良く管理された公園で、古民家が移設されています。この旧加藤家は18世紀後半の建物で、古民家の特徴を活かし、活動の場として開放されています。囲炉裏を囲んでお湯を沸かしたり、昼食は、小野路宿里山交流館特製の里山弁当を手配して日当たりのいい縁側でいただくなど、古民家の暮らしの一端も体験出来ました。


古民家の縁側でのんびり日向ぼっこ

 昼食後は、一本杉公園の周辺を散策し、天然記念物のスダジイの大木、「川上哲治の記念樹」「江夏豊のたった一人の引退試合」のお話、一本杉公園の名の由来の碑を見て、スタートの管理緑地へ戻りました。
 緑地では、焚き火のもとで、お待ち兼ねのデザートタイムです。ほっかほっかの焼きいも、焼きリンゴと暖かいコーヒーなど、秋の陽射しの下でゆっくりと寛ぎました。
 初めての参加の方々も多く、管理緑地周辺を巡る里山の一日は、「今日はありがとうございました」「また来てくださいね」と別れを惜しみながらの解散となりました。企画したメンバーにも満足感溢れるフットパスになったことは言うまでもありません。


緑地で焼きいも。焚火の始末はしっかりと


アツアツの焼きいも、美味しいね。


本日のコースマップ

(文:伊藤 右学写真:田邊 博仁)

布田道と関谷の切通し ~火野正平さんが訪ねた~



 小野路宿は、相模国府と武蔵国府の道筋にあたり、鎌倉古道、大山街道の宿場町として栄え、幕末には六軒の旅籠がありました。
 小野路の「みどりのゆび管理緑地」に沿って、昔ながらの里山風景の面影をとどめて残る道は「布田道」と呼ばれ、小野路宿と布田五宿(調布)を結ぶ道です。
 幕末に、近藤勇、土方歳三、沖田総司らが、江戸牛込の試衛館から小野路へ、それぞれ36回、11回、12回と剣術の出稽古に通った道でもあります。
この布田道を進むと、重厚な雰囲気に包まれた「関屋の切通し」に出ます。この上の尾根道(鎌倉古道)を江戸時代に切り開いた道です。
 切り通しの横の雰囲気のある道標には「此道は布田道にて、幕末に近藤勇らが通いし道に御座候是より関屋を経て二町程にて小野路宿に着き申し候」と。


管理緑地の横の布田道

関屋の切通し

 ここは、NHKTV「こころ旅」の287日目,ちょうど11年前の2013年12月15日に火野正平さんが、この布田道から関屋の切通しを訪ね、道標の下に座って、町田の投稿者からのお手紙「私のこころの風景」(私の心に残したい思い出の場所町田市小野路別所から西へ「布田道」を歩いて至る「関屋の切り通し」の風景です。)を読み上げました。


道標を読む火野正平さん

関屋の切通しと火野正平さん

 ここ「関屋の切通し」をご案内する毎に、このエピソードを紹介してきました。
 火野正平さんは、1ヵ月前に亡くなられました。今日(12月15日)は、11年前の彼と同じように道標の前に座り、「お手紙」を読ませていただきました。(合掌)
(文と写真:田邊 博仁)

里山の自然管理は地道に

ボランティアが育む人と自然の融合



 都会近くに在りながら、緑あふれる自然にひかれて多くの人々が里山を訪れます。しかし、里山の自然は手つかずの原野原生林ではありません。人々が長年にわたり野山を開き、田圃や畑として耕し、生きる糧を得て来た場が里山です。
 里山を訪れる人は、何故かほっとした気持ちになります。そこには剥き出しの自然はなく、安心して付き合える自然があるからです。自然と人が適当なバランスを保ちながら、ある意味で共存融合している姿が里山なのです。
 目には見えませんが、訪れる人々や管理に携わる私たちの心の中に育まれる、穏やかで幸せな気持ちが、今の里山がもたらしてくれる実りです。
そんな心構えで、ボランティアとして里山管理に取り組んでいます。暑い時も、寒い時もあります。作業は決して楽ではありません。
 しかし、四季折々に移ろいゆく自然を楽しみながら、お互いに力を合わせて作業するなか、人と人の繋がりも生まれ、心強い気持ちにもなります。毎月1回僅か2時間の作業であり、ボランティアとして出来ることは限られています。そんな作業時間を最大限に活用し、やれることを効率良く、地道に続けていきたいと思います。
(文:合田 英興)

緑地管理、ご一緒に楽しみませんか?




 みどりのゆびの緑地活動に参加して10年経ちます。初めてフットパスで小野路を歩いた時、会員のSさんから「うちには竹林があってタケノコ掘りをするのよ」と聞いて、タケノコを掘ってみたいと思ったのが切っ掛けです。
 以来、仲間の皆さんと一緒に、微力ながら草刈りや竹林整備をしています。
夏場の草刈りが出来なかった後に出現した“オオブタクサの森”、”カナムグラの綿帽子”の光景は、今も忘れられません。
 すごかったのは昨年2月の雪害です。雪は、手入れを進めていた竹林で何本もの木を折ったり倒したりしてしまいました。この無惨な様子に「片付けは無理」と思ったけれど「幹はチェーンソーで、枝は鋸で切って崖下に落としてまとめる」ことになり、方針が決まってホッとしました。誰一人嫌な顔もせず作業をしていて、ついウルッとしてしまいました。
 楽しいのは、小鳥の囀り・野の花・水辺の生き物、そして何よりも一休みのお茶の時間。皆さんも一度この時間を私たちと共有しませんか。
(文:鈴木 由美子)

緑地管理としての道標の整備活動




 小野路宿の緑地は、鎌倉街道や布田道など地元の方だけでなく遠方の方も行き来をする、昔からの往来に面しています。そして、現在でも多くの方に楽しんでもらえる緑豊かな場所です。私たちはその美しい景観をこれからも楽しんでもらえるように、手作りの道標を設置しています。
 緑あふれる里山の風景の中を散策する手助けとなる道標ですが、設置してから随分と時間が経っています。そのため今では文字がかすれて読みにくくなってしまったり、そもそも道標自体の木材が劣化しているものもあります。それではせっかくの道標も、景観を汚すばかりか役に立ちません。道標は、「みどりのゆび」の独特の文字やシンボルマークなどで親しみある表情が好評です。まずは安全な道案内のためにも、と今ある手作りの良さを残しながら、整備を始めました。今年も少しづつ整備やリニューアルをしてまいります。
(文:太田 義博)

参加する魅力、活動する楽しさ

 事務局にメンバーが増えて、昨年から緑地管理
のグループリーダーが決まりました。今、例年とは違った活気があり、「この自然を守りたい…」
「この谷戸が好き…」の思いで活動しています。道具の扱いが慣れてきた頃のこと。鎌のひと振りで、ツルが絡んだ雑草がゴッソリ抜けてきたときの気持ち良さ!
 ある時は熊手で、高い木の枝に絡んだカナムグラを引き下ろそうとしました。が、古い熊手のほうが折れるのではないかと思うほどツルは頑丈で驚かされました。
 活動日は日曜日で、たくさんの人が布田道を行き交います。緑地にブルーシートを広げ、皆で一休みしていると、互いに挨拶し合ったり、道標や看板を読む姿が見られます。この交流がホッとできて嬉しいです。
 広い面積をたった2時間の活動です。しかし刈り払い機が加わると、草ボウボウが一気にスッキリ、サッパリ。そして青空を見上げたときのように清々しい気持ちになります。
 ある時は、竹林にキンランやタマノカンアオイを発見!!! 「絶滅危惧種」だとか「多摩の固有種らしい」などと、賑やかに植物談義が弾みます。
 活動する楽しさは、参加する魅力に繋がると思います。
(文:新納 清子)


ロウバイ香る1月末の緑地(2024年)


太い倒木は電動ノコギリで、枯草処理は人力で


倒木を活用した丸太の椅子で


ロウバイを背に、道標と掲示板(写真:伊藤)
(写真:横山禎子)
2024.12.15 21:48 | 固定リンク | 緑地管理