•  フットパス活動の記録

フットパス専門家講座 小田原の海浜別荘跡と宿場町を歩く
2021.11.07
フットパス専門家講座
小田原の海浜別荘跡と宿場町を歩く
[講師:浅黄美彦]

旧東海道、国際通り、かまぼこ通りな
どに、小田原の歴史と風情を今に
11月 7 日(日)天気:曇り 参加者: 13 名

 お城には行かず、小田原の生業と海辺の海浜別荘跡そして最近建った小田原の公共施設を見るという企画です。
 まずは小田原駅東口から南へ歩き、城下町・宿場町を支えた生業を営むお店を訪ねました。明治創業の「だるま料理店」、漆とうつわの「石川漆器」、創業 360 年の老舗「倭紙茶舗江嶋」などの‘街かど博物館’を巡りながら、ものづくり文化を今に伝える小田原を歩きました。



「江嶋 」 昭和 4 年築 出桁造
小田原市歴史的風致形成建造物指定

 南に進むと国道1 号線がクランクする箱根駅伝の名所へ。もうすぐ解体される「小田原市民会館」、昭和初期の銀行建築、かわいらしい洋館風の「山本眼科医院」など、近代建築が集まっているエリアを眺め、小田原の豊かさを改めて感じました。


「山本眼科医院」現役の医院建築

 さらに南へ、旧東海道には、かつての網問屋をリノベーションした「小田原なりわい交流館」、その先の海辺と並行した通りが「かまぼこ通り」。この通りの蒲鉾店の縁台でビールセットをいただく。のんびりとした通りから、かつ節の「籠常」の路地に入り、旧堤防、西湘バイパス下の狭いトンネルを抜けると海。横丁、路地、トンネルと閉じた場所と開けた場所の変化を楽しむ。



「籠常」の横の路地


小田原海岸・御幸の浜(写真:田邊)

 海から少し戻って堤防沿いを歩くと、小田原の私小説作家川崎長太郎の小屋跡碑がある。かつての花街の外れ「抹香町」の世界を味わうこともできる。
 海沿いを西に歩くと多くの寺がある。お城を守る海岸防備の配置なのかもしれない。「正恩寺」の向かい側には、伊藤博文別邸跡「滄浪閣」がある。明治 23 年御幸の浜に建て、 7 年ほど過ごし大磯に移っていった。大磯の「滄浪閣」が有名ですが、こうした歴史の中に埋もれている「小田原の滄浪閣」をみるのも悪くない。
 さらに西へ進むと、「旧横河民助の別荘」跡の長い煉瓦塀が残る。その先に「小田原文学館(旧田中光顕別邸)」がある。昭和 12 年築、曽禰中條建築事務所が手掛ける。小田原に残る海浜別荘として貴重でもある。


「小田原文学館」3 階テラス

 そろそろ帰路へ。北東に歩き、今年開業した「三の丸ホール」からのお城を眺め、いよいよゴールの「 MINAKA 小田原」に着く。足湯のある屋上からもう一度お城と市街を眺め解散しました。


「MINAKA 小田原」からの眺望

(文と 写真:浅黄 美彦)

海辺のまちらしい風情と、
通りの建物を堪能


久しく小田原に行っていないのと、案内に気になる建物があって、飛び入り参加させてもらいました。駅前とお城の周りは、整備が終わって、既視感のある綺麗な観光地になって、とても賑わっていました。
 通称「かまぼこ通り」と海に通じるエリアは、海辺のまちらしい風情。床屋さんのシンプルながら気を惹く、海辺に似合った窓やドアのデザインと色合い。看板の上の辺りのデコっぽいマーク。久しぶりにまち歩きの楽しみを味わいました。
 マスクがなければ、乾杯ビールも出来るのに、コロナ、早く退散して欲しい!


「かまぼこ通り」の理髪店

(文:木村真理子 写真:浅黄)


ご参加のみなさまと(写真:田邊)
2021.11.07 00:00 | 固定リンク | フットパス
農家の畑で発見する 珍しい植物も楽しみ
2021.10.24
農家の畑で発見する
珍しい植物も楽しみ

 ミカン狩りをした農家さんで珍しい果物が売られていました。「ローゼル」は紅いツボミのような形をしていて、ハイビスカスティーの材料になります。熱帯地方原産で古い歴史を持ち、クレオパトラも食したとか。また「フェイジョア」も熱帯果樹で、近くの東京農大の演習農場で栽培されていました。楕円形の緑の実は甘く、生食やジャム等にします。農家さんも新しい作物の導入を図っておられるようです。これらは花も独特できれいです。花の季節に訪れるのも楽しいと思います。


珍しい果物ローゼル

「県立いせはら塔の山緑地公園」は標高203 m。
 下の道から 10 数分で登れますがマスクで歩くのはちょっとキツかった。しかし展望台まで登ると眺望は最高。伊勢原市街を眼下に相模平野が広がり、彼方にかすんで三浦半島から房総半島の山々まで見えました。昼食をとりながら飽かず眺めました。背後ではシロヨメナやオケラなど里山の花が咲いていました 。
(文と写真:森正隆)
2021.10.24 00:01 | 固定リンク | フットパス
他のまちのフットパスをみてみよう 伊勢原時空の散歩道
2021.10.24
他のまちのフットパスをみてみよう
伊勢原時空の散歩道
[講師:田邊博仁]

伊勢原丘陵の眺望とミカン狩りと
三之宮比々多神社を訪ねる

10月 24 日 日 天気:晴 参加者: 12 名

 大山を頂点として広がる伊勢原丘陵地帯は、「四神相応」の地、気候も温暖、太古から人々の生活の舞台になっていました。今回は、伊勢原市西部の比々多地区をご案内しました。ミカン畑と畑地が続くのどかな丘陵地帯を大磯丘陵から江ノ島、三浦半島の大パノラマを見ながら歩く自然フットパスです。 また、東日本最古級といわれる「 三ノ宮比々多神社」付近は神奈川県でも一番の古墳密集地として知られ 、「 登尾山 (とおのやま古墳 」 や「埒免 (らちめん 古墳」など県下有数の副葬品が出土した古墳が集中しています。相模国の成立にもふれる歴史フットパスでもあります。


大山と伊勢原丘陵比々多地区の風景


 今日のスタートは小田急線鶴巻温泉駅です。地元の木をふんだんに使った駅舎が新鮮で、とても気持ちの良い駅です。
 まずは、駅前の創業100 年の老舗温泉旅館「陣屋」をご案内。カルシウムは牛乳以上、世界でも有数の含有量の温泉です。ちょっと飲んでみました。
 国道246号を渡ります。この道は、律令時代は「古代東海道」、江戸時代は「矢倉沢往還」、「大山街道」とも呼ばれてきました。古道の雰囲気が伝わる「矢倉沢往還」を見て、坪ノ内バス停から、「関東ふれあいの道」(太田道灌・日向薬師のみち)に入り、道標に従って歩きました。途中、「八幡神社」からの山道で、奇妙な「玉ねぎ石」を見つけました。丹沢が隆起したとき凝灰岩類が地表に露出し風化作用によって形成されたものです。丹沢、伊豆半島の形成の歴史の証拠です。


伊勢原丘陵の「関東ふれあいの道」を歩きます


山道で「玉ねぎ石」に出合いました

 比々多地区は、温暖な気候を活かし「フルーツの里」と呼ばれ、果物の生産(かき、いちご、ミカン、ぶどう)が盛んです。
 ちょうど、特産のミカンの収穫シーズンが始まった、「長福寺」先の 100 年以上続くみかん専門の農家 「まるひの園」におじゃまし、ミカン狩りを楽しませていただきました。伊勢原のミカンは明治末期に静岡や小田原などから栽培技術が導入され、日本最北端のミカンとして有名であります。この農家さんの裏山で登尾山古墳が発見されました。


ミカン狩りが終わって

 そして、しばらく伊勢原丘陵の里山の道を歩いて「県立いせはら塔の山緑地公園」の展望台広場へ登り、ここで昼食をとりました。この展望台からも、東京・横浜、三浦半島、相模湾の大パノラマを見ることができました。


展望台から大パノラマを楽しむ


「三之宮比々多神社元宮」から大パノラマを楽む

 展望広場を下りると、前方に東京農業大学伊勢原農場と元恵泉女学園園芸短期大学の建屋が、高原のホテルのように広がっていました。この恵泉大学の敷地内で、「埒免古墳」が発見されました。ここは、フェンス越しに眺め、さらに小高い丘の小道を登ると「三之宮比々多神社元宮」に着きます。ここからの大パノラマも素晴らしい眺めでした。
 丘をくだり、三之宮比々多神社 の裏側付近の「下谷戸縄文遺跡 環状列石及住居跡」を見学し
「三ノ宮比々多神社」の境内へ入り、お参りをしました。ここの宮司さんとはメールのやり取りでフットパスに興味を持っていただき、「三之宮郷土博物館」では、名誉宮司さま(現宮司さんのお母さま)より、三之宮神社の説明と展示されている出土品の説明をいただき、集合写真までも撮っていただきました。


「三之宮比々多神社」にて
(文と写真:田邊博仁)
2021.10.24 00:00 | 固定リンク | フットパス
群れ咲く秋草を従えて点在する 磨崖仏や石塔に歴史を忍ぶ池畔散策
2021.10.03
群れ咲く秋草を従えて点在する
磨崖仏や石塔に歴史を忍ぶ池畔散策


 歴史ある景勝の地として、都心からも近い箱根。
 今回は箱根湯本駅からバスで 26 分という「六道地蔵」で下車してすぐの、眼前に広がる精進池周辺が秋の箱根ならではの植物探査のコースに選ばれました。
 ここ元箱根周辺は国道1号線の最高地点の近くに位置し、鎌倉時代の主要街道・湯坂路のもっとも険しい峠にあたります。池畔には元箱根石仏・石塔群が立ち並んでおり、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)に分かれる辻と考えられていました。


磨崖仏(俗称二十五菩薩東側)


ノコンギク

 精進池池畔を巡る小径にはノコンギクなど、この季節ならではの野菊の仲間や秋草が群れ咲いて、点在する永仁元年から掘られたという二十数体の磨崖仏群や八百比丘尼、多田満仲の墓など歴史上の人物を祀る石塔の足元を彩るようすは、箱根の歴史散歩の一場面でもあります。
 中でも野生バラ愛好家垂涎のサンショウバラ、フジイバラなどが大きな灌木となって赤い実を付け、秋の日射しに輝く姿が印象的でした。
 多彩な灌木群の中でも、特に目を引くのは木肌の美しいヒメシャラの大木。庭園木としても人気で、初夏には白い花をたくさん咲かせるはずです。


精進池の遊歩道から
芦之湯方向へ


芦之湯温泉街の先の湿地で
スマホ撮影に夢中

 さて、遊歩道をさらに進んで芦之湯方面へ。波うつススキの穂や、湿地帯では早くも色付き始めた草紅葉が迎えてくれました。
(文と写真:横山 禎子
2021.10.03 00:01 | 固定リンク | フットパス
フットパス専門家講座 スミレ博士と行く秋の箱根
2021.10.03
フットパス専門家講座
スミレ博士と行く秋の箱根
精進池から東芦之湯
[講師:山田 隆彦 ]

箱根周辺特有の野生バラが赤い実をたくさん付けて
10月3日(日) 天気:晴 参加者: 7 名


箱根には、多摩丘陵や高尾山、奥多摩などでは見られない特有な植物が多くあります。「みどりのゆび」では、精進池の畔から芦之湯までを巡りながら秋の気配が濃い植物たちを観察。この時に見られた植物についてご紹介します。



精進池周辺。右奥に磨崖仏(六道地蔵)の社が写真:横山)


サンショウバラ[山椒薔薇]バラ科
散策しなが ら、コースには点々と生えているのが見られます。葉や刺の形がサンショウに似ているところから、サンショウバラの日本名がつきました。富士・箱根地方のクリ帯からブナ帯の日当たりのよい所に分布しており、大木に覆われ日陰になると、すぐに枯れてしまう植物です。花は、6 月に咲き、径5~6 cm でピンク色をしておりとても奇麗です。一日花ですが、次から次へと咲くので2週間くらいは楽しめます。散策時には、刺に覆われた果実が観察できました。不思議なことに、庭園や庭に植栽したものはよく育つのに、富士・箱根周辺以外で野生しているものは見られません。


サンショウバラ

フジイバラフジイバラ富士茨 ] バラ科
富士・箱根・丹沢一帯に多く、あとは秩父山地、奈良県大峰山から四国中央山地に点々とブナ帯に分布しています。花期は6~7月で、白色の小さな花を多数つけ、サンショウバラより少し遅れて咲きます。ノイバラに似ていますが、幹は太くしっかりとしていて、小高木状になります。箱根周辺の風衝草原でこんもりと茂って白色の花をつけているのはこの種です。日本のバラ属の中では最も幹が太くなります。


フジイバラの実(写真:横山)


フジイバラの白い花

ヒメシャラ[姫沙羅」ツバキ科
箱根を代表する樹木の一つで、木肌が黄褐色をしていて、とても奇麗です。樹皮の色ですぐにこの木の存在を知ることができます。箱根が北限で、屋久島まで分布しますが、中国地方には生えていません。北限にもかかわらず、この地域の個体数が多いのは不思議です。花期は5月で、花は白色、上向きに咲き、地面に落ちている花を見て、咲いているのに気づきます。ヒコサンヒメシャラも生えており、ヒメシャラより花は大きく、2ヵ月ほど遅く7 月に咲きます。花のない時には、黄褐色の樹皮に細い黒い縞が入っているので、見分けられます。丹沢以西、九州まで分布しています。


ヒメシャラ


オトメアオイ

その他、淡紅色の花をつけるヤマジオウや箱根周辺と伊豆半島に分布するオトメアオイがあり、多摩地方に多いタマノカンアオイとの比較も興味深い。春のスミレ類では、濃い紅色の花をつけるエイザンスミレやシコクスミレ、花弁は白く、距(花の後ろに飛びでている箇所で蜜が溜まっています)がピンク色のオトメスミレなどが楽しめます。アップダウンもあまりなく四季折々の花が楽しめますので、お勧めの散策コースです。
(文と写真:山田 隆彦
2021.10.03 00:00 | 固定リンク | フットパス